BPOの終わりが始まる——「外注していた仕事」は、AIを使う社員が取り戻す

前回の記事で、SaaSの主役交代について書きました。
今回は、もうひとつの大きな地殻変動——BPO(業務プロセスの外注)市場の話をします。
結論から言います。
「人手が足りないから外注する」という時代は、終わりに向かっています。
代わりに来るのは、「AIを使える社員が、自社で完結させる」時代です。

■ BPO市場の現実——1,000万人規模が登録する巨大な"受け皿"
クラウドソーシングやBPOプラットフォームに登録しているワーカーは、国内だけで推定1,000万人規模と言われています。
ランサーズ、クラウドワークス、ココナラ、シュフティ——これらのサービスが急成長した背景には、企業側の「人が足りない、でも正社員は雇えない」という切実な事情がありました。
実際、中小企業にとってBPOは合理的な選択肢でした。
採用コストも教育コストもかからず、必要なときだけ必要な分だけ発注できる。いろはTECとしても、クライアントの業務負荷を下げる手段としてBPOの活用を提案してきた経緯があります。
しかし、2026年の今、その前提が揺らいでいます。

■ なぜBPOが揺らぐのか?——AIが「外注していた作業」をこなし始めた
BPOに出されている業務の多くは、実はこういうものです。

・データ入力・転記
・請求書や帳票の作成
・リサーチ・情報収集
・簡易なライティングや翻訳
・SNS投稿の下書き
・議事録の作成

お気づきでしょうか。
これらはまさに、AIエージェントが最も得意とする領域です。
前回の記事で触れたClaudeのCoworkやChatGPT、Geminiといったツールは、こうした「定型+半定型」の業務を、指示ひとつで処理できる段階に入っています。
つまり、外注先に依頼書を書いて、納品を待って、チェックして、修正を戻す——このやりとり自体が、不要になり始めているのです。

■ 「外注」から「社員×AI」へ——中小企業にとっての意味
ここで重要なのは、「AIが社員の仕事を奪う」という話ではないということです。
むしろ逆です。
AIを使えるようになった社員が、外注に出していた仕事を"取り戻す"。
これが、いま起きつつある構造変化の本質です。
中小企業の現場で考えてみてください。
・月5万円かけて外注していたSNS運用を、社員がAIと一緒に30分で仕上げる。
・外部ライターに依頼していたブログ記事を、営業担当が自分の言葉でAIに下書きさせ、10分で完成させる。
・経理担当が、手作業で2時間かかっていた帳票処理をAIに任せ、チェックだけに集中する。
外注費が下がるだけではありません。
「自社の文脈を知っている社員」がAIを使うからこそ、品質もスピードも上がる。外注先には伝えきれなかったニュアンスや判断基準が、最初から反映されるわけです。

■ BPOワーカー1,000万人規模——時代の転換点
誤解のないように補足します。
BPOがすべてなくなるとは言いません。高度な専門スキルが必要な領域——デザイン、法務、システム開発の上流工程など——は引き続き外注の価値があります。
しかし、BPO市場のボリュームゾーンを支えてきた「誰でもできるが、社内に手が回らない仕事」は、AIによって急速に内製化されていきます。
これは、BPOプラットフォームに登録している1,000万人規模のワーカーにとっても、無視できない変化です。
「AIにできる作業を請け負う」のではなく、「AIを活用して成果を出せる人材」へのシフトが、ワーカー側にも求められる時代になります。

■ いろはTECが方向転換した理由
正直に書きます。
いろはTECは、これまでクライアントの業務負荷を軽減する手段としてBPOの活用を推奨してきました。
しかし2026年、AIエージェントの実用性が一気に上がったことで、方針を転換しました。
「外注に出す」のではなく、「社員がAIを使って自分でやれる状態をつくる」
この方が、コストも品質も、そして組織の成長スピードも上回ると判断したからです。
もちろん、いきなり全業務をAIに切り替えるのは現実的ではありません。
だからこそ、「どの業務から始めるか」「どうやってAIに自社のやり方を覚えさせるか」を一緒に設計する。それが、いろはTECの役割です。

■ まとめ——外注コストを「社員の武器」に変える
SaaSからAIエージェントへ。そしてBPOから社員×AIへ。
2026年は、企業のコスト構造そのものが書き換わる年になります。
あなたの会社が毎月外注に出している業務を、一度リストアップしてみてください。
その中に「AIと社員で置き換えられるもの」が、おそらくいくつも見つかるはずです。
最初の一歩は、小さくていい。
まず1つの業務から、AIとの協働を試してみる。
その積み重ねが、半年後の外注費と、社員の働き方を大きく変えます。
次の一手を、一緒に考えてみませんか?

▼いろはTEC
https://irohatec.com/

作成者:いろはTEC 山下英之|中小企業のDX推進・AI活用を支援。補助金・助成金を活用したコストを抑えた導入提案を得意とする。

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