デジタル技術の進展の中で、中小企業や小規模事業者が直面する「2025年問題」や「2025年の崖」などが深刻化しており、DXを実行する企業が少ないことが問題となっています。
■ 2025年問題
- 2025年には約800万人いる全ての「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎えます。
- 2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定により、約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があります。
中小企業庁:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題
総務省統計局:経済センサス-活動調査
2021年(6月1日時点) 企業数 従業員数 大企業 10,364(0.3%) 14,384,830(34.4%) 中小企業 3,364,891(99.7%) 33,098,442(65.6%) うち小規模事業者(従業員20人以下) 2,853,536(84.5%) 9,725,922(12.4%)
■ 中小企業のDX推進に関する調査
中小機構:中小企業のDX推進に関する調査(2023年10月)
DXの取組状況 ・既に取り組んでいる(14.6%)
・取り組みを検討している(16.6%)
・必要だと思うが取組めていない(31.6%)
・取組む予定はない(37.2%)DXを実施済、検討中とした業務 ・ペーパーレス化(64.4%)
・ホームページの作成(47.1%)
・営業活動・会議のオンライン化(47.1%)DXに取り組むに当たっての企業の
課題の上位(従業員21人以上)・ITに関わる人材が足りていない(41.7%)
・DX推進に関わる人材が足りない(40.5%)
・予算の確保が難しい(22.9%)DXに取り組むに当たっての企業の
課題の上位(従業員20人以下)・何から始めてよいかわからない(27.7%)
・予算の確保が難しい(26.2%)
・具体的な効果や成果がみえない(19.8%)
■ 2025年の崖
- 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化
- 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている
多くの経営者が、企業のDXの必要性について理解しているが、この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)がある。
経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~