課題:世界デジタル競争力の低下
日本は2024年のIMD世界デジタル競争力ランキングにおいて、67カ国中31位にランクされています。特に人材に関しては、53位と非常に低い評価であり、ビジネスの俊敏性が58位と極めて低く、他にもデジタル/技術的スキルの低さや企業の変化対応力の低さなどの課題があります。
出所:IMD「世界競争力ランキング2024」https://www.imd.org/
日本貿易振興機構(ジェトロ)HP載:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/11/ff7f037c7896f12e.html
課題:DXの取組み状況の深刻化
従業員20人以下の企業は国内で約285万社(全体の84.5%)存在します。
中小企業基盤整備機構が毎年調査する内容によると、2024年12月のデータでは以下の取組状況となっており、依然として約81.5%(232万社)の企業でDXが進んでいないことを示唆しています。
DXの取組み状況
- DXに既に取り組んでいる(18.5%)
- DXの取組みを検討している(23.5%)
- DXを必要だと思うが取組めていない(27.1%)
- DXに取組む予定はない(30.9%)
DXに取組むに当たっての課題
- 何から始めてよいかわからない(18.7%)
- 予算の確保が難しい(26.4%)
- 具体的な効果や成果が見えない(22.2%)
- ITに関わる人材が足りない(18.5%)
特に従業員数20名以下の企業においては、DXの取り組みに対して有効な対策を見出せず、人件費の高騰や価格転嫁の困難さといった経営課題への対応にも苦慮している状況がうかがえ、地方においてはその深刻さが一層増していると報告されています。
出所:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2024年12月)」


課題:2025年問題(超高齢化時代への突入と後継者未定問題)

2025年、団塊の世代800万人が75歳の後期高齢者となり、日本国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化時代へ突入しました。
また、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定となっています。
出所:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」
| 2021年(6月1日時点) | 企業数 | 従業員数 |
| 大企業 | 10,364(0.3%) | 14,384,830(34.4%) |
| 中小企業 | 3,364,891(99.7%) | 33,098,442(65.6%) |
| うち小規模事業者(20人以下) | 2,853,536(84.5%) | 9,725,922(12.4%) |
出所:総務省統計局「経済センサス-活動調査」
今後の展望
日本の中小企業のデジタル化は、人材不足、経営層の理解不足、予算制約、レガシーシステムの問題、ITリテラシー不足などの複合的な要因により遅れていますが、段階的なアプローチ、外部リソースの活用、公的支援の利用などを通じて、これらの課題を克服することは可能です。
今後、デジタル技術の導入を通じて、業務効率を向上させるだけでなく、競争力を強化し、持続可能な成長を目指すことが求められています。DXの成功には、経営トップの強いコミットメントと、全社一丸となった取り組みが不可欠であり、これこそが日本の中小企業がデジタル変革を成功させる鍵となるでしょう。
2025年に中小企業のAI導入率は30%まで上昇すると予測されているように、デジタル技術の普及はさらに加速していくと考えられます。特に昨今の人手不足の深刻化や、コスト競争の激化により、デジタル技術活用の必要性はますます高まっていくでしょう。
中小企業が変化の波に乗り遅れないためには、「やるべきことはわかっているが後回しにしている」という状態から脱却し、具体的な一歩を踏み出すことが重要です。「2025年の崖」を乗り越え、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出により、日本の中小企業の競争力向上と持続的成長の実現が求められています。
